情報を活かして経営を行うことを「情報化」と言い、ITはこの「情報化」を速く行うための道具であることを、前回は書きました。
前回の続きで、経営と情報、そしてITの利用についてまとめました。
前回の振り返り
IT経営とは、『ITを活用して、競争力や生産性の向上を実現する』ことです。しかし、厳密に表現するならば『情報を活用して企業を成長させるために、ITを有効に利用しましょう』ということになります。
企業経営とITが直接結びつくのではなく、その中間に「情報」が存在します。そして、その情報を上手に活用することで、売上向上や在庫削減、業務効率によるコスト削減などの経営的な成果を上げることがIT経営です。経営者は常に情報収集を行い、適切な対策を行っています。「早く知り、早く手を打つ」ことです。
ITはこうしたIT経営を実現するための道具です。情報収集をスピーディーに行えるようにしたり、情報の加工を簡単にするための道具です。
IT経営成功のポイント(1) 「情報化」の成熟度を高める
経営者の視点や業界の性質によって、この「早く」に温度差があります。環境変化が激しい業界の企業や経営者が情報を重視していると1日でも早く情報を見たくなります。正反対に、環境変化が緩やかな業界の企業や経営者が現場作業などに没頭していたりすると、情報にほとんど関心を示すことはありません。そのため、後者のような企業にITを導入しても効果はほとんど得られないことになります。
例えば、試算表を早く見たいという意識が経営者に無ければ、会計システムは効果を発揮することができません。経理業務を効率化するという意味においては効果がありますが、中小企業におけるその効果はわずかなものです。
ITの導入効果を高めるためには、企業における「情報化」の成熟度が一定のレベルにあることが条件になります。「情報化」の成熟度を高めることが、ITの導入やITの利用促進には不可欠です。
IT経営成功のポイント(2) 経営者がITの効果を理解する
「情報化」成熟度が一定以上ある企業の場合、様々なデータをもとに経営判断に役立つ管理資料を作成しようとします。ところが、IT投資が不十分だと、経営に必要な情報を収集・加工する社員の仕事量がキャパオーバーをおこし、管理資料の作成が遅くなり、結果として経営判断が遅れ気味になります。経営者のITに対する理解不足がこうした事態を招くことになります。
例えば、生産現場の改善を行うために生産工程毎の実績を日報に書かせ、それを事務社員が毎日毎日Excelに入力するとなると大変な労力になります。生産実績を収集することに疲れ果て、その情報を活用して現場改善を行わなくなってしまうことも考えられます。
ITを仕事の自動化や省力化の道具と捉えるのではなく、経営に必要な情報の収集・加工をスピードアップするための道具であると捉えることが必要です。そして、早く集まった情報をもとに素早い行動を起こすことで競争力を高めるのです。経営環境の変化は激しいのに経営者がのんびりしていたら、経営が立ち行かなくなるのは目に見えています。
IT経営成功のポイント(3) 社員の意識を変える
経営者が情報を早く知りたいために有効なITを導入しても、その成果が出ないことがあります。それは、情報を収集・加工する仕事に携わっている社員の意識の問題です。情報を収集・加工する仕事そのものには付加価値が無いにも関わらず、その仕事に価値を見出し、仕事のやり方を変えようとしない社員がいることです。こうした社員がいると、どんなに立派なITを導入しても、その効果は十分に発揮できません。
例えば、販売仕入管理システムを導入して月次決算を早く行おうとしているのに、支払日までに仕入入力をすればいいと事務社員が行動を変えなかったら、目的を達成することはできなくなります。
情報、人財、ITの三位一体による情報化
「情報化」は、「経営判断に必要な情報」「集まった情報をもとに判断し行動する人財」「その情報を速く収集・加工するためのIT」が揃わないと、実現できません。特に、「経営判断に必要な情報」が重要です。これが決まっていないのに、IT導入を考えても意味が無いからです。
「こういうことが分からない(情報が無い)から、困っている」「こういうことが分かる(情報が得られる)と、もっと会社がよくなるのに・・・」と思うことはありませんか? これが、「経営判断に必要な情報」の出発点です。その情報はどこにあるのか、どうやれば集められるのか、どういう周期で集めればいいのか、それを誰が判断するのか、と掘り下げることで「情報化」の骨格が見えてきます。そうすると、「情報化」に有効なITもおのずと分かってきます。
そして、この掘り下げを通じて「情報化」を担う人財を作っていかなければなりません。人財がいないのではなく、作ろうとしていないだけだと思います。また、人財が育ってからという経営者もいらっしゃいますが、それではいつまで経っても、「情報化」は実現しません。
小さな範囲でいいので、情報、人財、ITを三位一体で改革していくことが「情報化」を実現する早道だと考えます。












