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経営とITのギャップ

「中小企業白書」に掲載されていたアンケート結果の内容などから、中小企業がIT化を進める上での意識が浮かび上がってきます。それは、「ITが経営に与える影響を多くの企業が認識している」にも関わらず、「IT化に関する人材不足が大きな課題である」ということです。
今回は、経営とITの間にある何とも言えないギャップについて考察したいと思います。

ITの進化が経営環境や社会環境を大きく変えていることで、ITを上手に活用した経営(IT経営)をしなければと、経営者の多くは認識しています。ところが、経営とITの間にある大きなギャップに戸惑っている経営者の姿が浮かび上がってきます。
ギャップを埋めるためには、経営側からITのほうへ近づいていくアプローチとITのほうから経営側へ近づくアプローチが考えられます。しかし、後者のアプローチはITありきになり、アプローチの方向が間違うと経営課題を解決するIT活用が実現できなくなります。
そのため、前者のアプローチが必要なのですが、社内に人材がいないという悩みになるのです。そして、どうしようもないためITベンダーに依存する形でIT化を進める(後者のアプローチ)ことになり、投資効果があまり得られないことに改めて悩みます。こんな状況が、あちこちの企業で起きているのです。

では、経営とITのギャップを埋めるためには、どのような能力を持った人材が必要なのでしょうか? 経営側からITへ近づいていくためには、ビジネス・アナリシスという方法でアプローチすることが有効です。ビジネス・アナリシスとは、『経営課題を解決するための要求事項を特定し、解決策(ソリューション)の実現とそれによる課題解決を達成すること』で、これができる能力を持った人材が、ギャップを埋めるためには必要になります。

ビジネス・アナリシスを行う、具体的な手順は次の通りです。
1.経営課題に関与する関係者(経営者、現場、顧客、等)の要求を引き出す
2.その要求内容を分析する
3.要求を満たし課題を解決する方法(ソリューション)を定義する
   ・業務プロセスを改善する方法
   ・組織を改善する方法
   ・ITを活用して改善する方法
4.定義したソリューションが有効であることを検証する

そして、これを進めるために必要な基礎能力としては、次のようなものがあります。
・分析力と問題解決力 論理的に解決策を考える力
・ビジネス知識 経営に関する一般的な事項、業界知識、等
・コミュニケーション能力 関係者の要求を理解し、解決策を理解してもらう能力
・グループ作業能力 解決策を作り実現に導くプロジェクトを進める能力
・倫理感を持った行動力 関係者やプロジェクトメンバーから信頼される行動

ITに関する事項がないことを不思議に思う方もいるかもしれません。ソリューションを検討する際にITに関する知識が必要となることがありますが、それは大きな要素ではありません。ITを得意とするメンバーの知識を上手に引き出せば済むことです。実は、多くの経営者がITの知識を持った人材がいないことを嘆いているようです。また、ITに詳しい社員(ITおたく)にIT経営の実践を任せて失敗しているケースも見受けられます。
ビジネス・アナリシスの方法でアプローチするためには、ITに関する知識よりも、企業を変革するための能力や気持ちが必要であることに気づかれるのではないでしょうか。こうした能力であれば、社内を探すと適当な人材を見つけることも可能ではないかと思います。

IT経営を実践する役割を担った責任者を、CIO(Chief Information Officer)と呼ぶことがあります。最高情報責任者と訳されることが多いのですが、このCIOは単に情報システムだけを管理するという立場ではなく、経営全体の視点から自社の情報(IT)化を考え、情報(IT)化をどのように進めるか、そのためにどのようなITを利用するか、を企画し推進する立場にあります。そして、情報(IT)化を推進することによって企業を変革させる役割を担っています。CIOは、ビジネス・アナリシスによって企業を変革する責任者です。
そのため、CIOの「I」はInformation(情報)だけでなく、Innovation(革新)、Intelligence(理解力)、Investment(投資)も意味していると言われています。

厳しい経営環境になっていますが、時代が大きく変わる転換期のように感じます。この状況をチャンスと捉えて経営を変えていくことで、次の時代に生き残れる企業になることが大切です。そのためにも、IT経営を実践しましょう。

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