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tochikawa-masafumi

技術進歩と人間社会

技術の進歩は、人を幸せにするためにあります。ITは情報技術ですので、同じように人を幸せにしなければなりません。しかし、実態はどうでしょうか?
今回は、ITの進歩と人間社会の関係について考察したいと思います。

ノーベル賞で有名なノーベルはダイナマイトを発明しましたが、それが工事現場などの平和利用だけではなく、弾薬として戦争にも使われるようになり、悲惨な戦争が後を絶ちません。
また、相対性理論を発表したアインシュタインが「質量とエネルギーの等価性(E=mc2」を提唱したことで原爆開発が行われ、広島や長崎に原爆投下がなされました。そして、核廃絶は未だ遠い状況です。
一方、身近なところでは、内燃機関(エンジン)の発明によって交通手段が発達し人間の行動範囲が飛躍的に拡大しましたが、交通事故による死傷者が増え、排気ガスによる地球温暖化が進行しています。

このように、人間を幸せにするために発明された技術が、その反面で人間を不幸しているという現実が、古今東西に見られます。

IT(情報技術)はどうでしょうか? パソコンやインターネット、携帯電話の進展により、いろんな情報を瞬時に入手できるようになり、自宅にいながら買い物ができるなど、いろんな面で便利になりました。しかし、ITが社会生活に深く浸透することで、いろいろな問題も出てきています。

身近なところでは、社会的に影響が大きい銀行や航空会社、鉄道会社などのシステムトラブルによって、多数の人の生活に被害が出ています。
また、個人情報の悪用による迷惑電話や迷惑DMの多発とコンピュータウィルスによる情報漏えい事故も深刻な問題です。相手を信用することで自分の個人情報の保護なんて特に意識していなかった人たちまでが、個人情報を過剰に気にするようになり、本当に有益な情報を得る機会を奪っているように感じます。
更に、携帯電話を中心に子どもたちを巻き込む事件が増えるなど、信用できない情報の氾濫によって社会全体に不信感が漂っているようにも感じます。
一方、ITの進展でビジネススピードが速まり、そのスピードに付いていけないことによってストレスを感じる人が増え、うつ病患者の増加や自殺者の増加を招いているのではと危惧しています。

爆薬や原爆、交通事故、などは、技術が悪いのではなく、使う人間に問題があることは明白です。人間のモラルやマナーの改善、それから関連法規の整備、行き過ぎた人間の欲望のコントロールなどによって、長い時間をかけて少しずつですが不幸な面を無くすようになってきたと考えています。ITも同じような道をたどるのではと思っています。
今回の世界的な金融危機は、金融工学とITの発達、それを利用する人間の欲望がもたらしたものだと考えています。これを反省材料に、新たな秩序が生まれることでしょう。

「デジタルネイティブ」という言葉があります。米国のリサーチ会社、ガートナーが提唱した言葉だそうです。インターネットが社会に普及するようになって十数年が経ちましたが、インターネット社会を子どもの頃から当たり前のように使いこなしてきた世代を「デジタルネイティブ」(デジタルの世界に生まれた)と呼ぶそうです。今の10代から20代前半の人たちが該当します。その反対に、ある程度成長してからインターネット社会に触れている世代を「デジタルイミグラント」というそうです。デジタルの世界に他の世界から移住してきたということのようです。
新しく生まれた技術に便利さや豊かさを感じながらも、ある面で右往左往している世代は、その混乱を解決することはできないのかもしれません。我々「デジタルイミグラント」では解決できないような問題も、今後社会にどんどん進出してくる「デジタルネイティブ」が解決し、新しい社会秩序を作りだすことでしょう。

しかし、そのためには、人間としての正しい考え方や道徳・倫理など社会生活を送るうえでの基礎要素の重要性などをしっかりと伝えることが大事だと思います。
ITが更に進化し、デジタル社会がますます広がったとしても、人間としての本質的なことは変わらないし、変わってはいけないと思う

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